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福岡地方裁判所 昭和44年(レ)3号・昭44年(レ)97号・昭44年(レ)2号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔主文〕(昭和四四年(レ)第二号)

附帯控訴に基づき、原判決(福岡簡易裁判所昭和四一年(ハ)八〇二号事件判決)を取消す。

附帯控訴人と附帯被控訴人との間において別紙目録(一)記載の土地が附帯控訴人の所有であることを確認する。

附帯被控訴人は附帯控訴人に対し右土地につき昭和三二年一二月二〇日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

訴訟費用は第一、二審とも控訴人(附帯被控訴人)の負担とする。

(昭和四四年(レ)第三号)

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

〔事実〕第一当事者双方の申立

(一) 控訴人(附帯被控訴人)

昭和四四年(レ)第二号について

「原判決中控訴人敗訴の部分はこれを取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」

との判決ならびに附帯控訴棄却の判決

昭和四四年(レ)第三号に

「原判決を取消す。被控訴人等は控訴人に対し別紙目録記載の土地が控訴人の所有に属することを確認する。控訴人に対し、被控訴人木立惣蔵は別紙目録記載の土地を右地上にある木造平屋建工場(13.22平方メートル)および植木を、被控訴人木立ナカは右地上にある木造瓦葺平屋建居宅(33.88平方メートル)を被控訴人木立安蔵は同木造瓦平葺屋建居宅(16.52平方メートル)をそれぞれ収去し、被控訴人木立栄輔は右地上の木造瓦葺平屋建居宅(33.88平方メートル)から退去して各自右土地を明渡せ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の連帯負担とする。」との判決

(二) 被控訴人(附帯控訴人)木立惣蔵(昭和四四年第二号、第三号)主文同旨の判決

〔判決理由〕本件土地について、被控訴人・附帯控訴人(以下単に被控訴人という)木立惣蔵が昭和二二年一二月二〇日頃から本件土地の占有を継続していることは、当事者間に争いがない。

ところで、<証拠略>本件土地は別紙(二)記載の土地の中Cの部分と共に被控訴人の先代木立久右エ門が控訴人(附帯被控訴人)、(以下単に控訴人という)から昭和初年頃から賃借していたものであること、控訴人から被控訴人惣蔵に対し本件土地一帯の土地のうち五二坪を買受けられたい旨申込んだことに端を発し、土地売買の交渉が開始されたが、右交渉において、被控訴人は、坪数によることなく現地売買をなすべく主張したところ、同月二〇日控訴人は、五二坪の範囲として当時荒地であつた本件土地をも含めた範囲の土地を現場で指示し、話し合いの結果、金三〇、〇〇〇円で被控訴人惣蔵においてこれを買受けることに話が纏り、即日右代金を支払つたこと、そのため同被控訴人は、それ以来、右指示された範囲の土地全部についての売買契約が成立して自己の所有に帰したものと信じ、本件土地の上に家を建てるなどして右土地を宅地として使用して現在に至つていること、控訴人は右二〇日以降本件土地を含む右交渉のあつた一帯の土地について全く賃料の請求を為さず又被控訴人もその支払いを為していないことが認められる。

控訴人本人尋問の結果は右認定を覆えすに足りないし、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

そうすると、右売買契約の成否ならびにその効力の及ぶ土地の範囲如何に如らず、控訴人惣蔵は、前同日所有の意思でする占有開始に当り善意にして且つ過失がなかつたというべき本件においては、一〇年を経過した昭和三二年一二月二〇日、宅地の状況となつていた本件土地について、時効によりその所有権を取得したものというべきである。

そうすると、第二号事件について、被控訴人惣蔵の右時効取得の主張を排斥し同被控訴人のこれを理由とする主たる請求を棄却し、予備的請求を認容して、控訴人に対し右宅地について福岡県知事の許可申請手続ならびに右許可を条件とする売買を原因とする所有権移転登記手続をなすべく命じた原判決は不当であるから、被控訴人木立惣蔵の附帯控訴に基きこれを取消し、同被控訴人の主たる請求を認容し、これにより不服申立の対象を失つた本件控訴については特に主文において判断を示さないこととし、第三号事件については、控訴人において本件土地所有権を有することを前提とする控訴人の各請求は、いずれもその前提を欠くので失当であり、これを棄却した原判決は相当であるから本件控訴を棄却することとし、訴訟費用について民事訴訟法九六条前段、九五条本文、八九条を適用して主文のとおり判決する。(安東勝 渡辺惺 蜂谷尚久)

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